メタ認知力は、感情のコントロールに大きく役立つ。 また、物事を複数視点で見れることで、ひとつの事象に対して楽しむ幅が増える。
その他にも様々なメリットが提唱されている「メタ認知力」だが、具体的にどうすれば向上させることができるのだろうか?
メタ認知力を向上させるには
「メタ認知力 トレーニング」で調べると、瞑想やジャーナリング、セルフモニタリングなど、様々な手法が検索結果として出てくる。
ただ、俯瞰的視野を得るためには、こういった個人でのトレーニングには限界があるようにも思える。なぜなら、メタ認知とは”自らの認知を離れること”が目的であり、自分一人で考えている限りは、自己視点から離れることが困難だからだ。
具体例を挙げて考えてみよう。
例えば、目の前で子どもが泣いていたとき、泣いている理由にはどのようなパターンが考えられるだろうか。
もし、あなたが「太っている子だから、お腹が空いているに違いない。」 と考え、子どもにお菓子をあげてみても、子どもが泣き止まなかったとするとどうだろうか。
恐らく、あなたは子どもの視点に立って考えようと、自分が子どもの頃、どんなことで泣いていたかを思い浮かべて考えるということができるだろう。
すると、迷子になった時に泣いていたり、親に怒られて泣いていたような過去の体験を思い出すことができ、それがその子どもにも当てはまるかもしれないという仮説を立てることができる。
これもひとつのメタ視点である。ここでは、「今の自分の視点」から「過去の自己体験からくる視点」に切り替わっている。しかし、これでは「自分の視点」から離れられていない。 「自身の経験や知識」から離れて物事を見ることができていないからだ。
必要なことは「主観から離れる」ことであるのに、中々離れられないのが認知の難しいところである。このことから逃れられるには、方法はひとつしかないと私は思っている。
それは、他者の視点を取り入れることだ。
メタ認知力を向上させるには、いかに自分以外の視点を自分の中に取り入れるか、ということが重要である。そして、メタ視点で見れていない人にとって最も大きな壁となるのは、自分がメタ視点で見れていないことに気づいていない、ということにある。
大切なのは、まずは「自分はメタ視点で物事を見れていない」という前提に立ち、自分の視点や考えを疑うこと。 ここに立たなければ何も始まらない、といっても過言ではない。
環境が自己視点を作る
では、もう少し「自分」という存在をカテゴリとして考えてみる。
自分の主観というのは、一体何によって確立していったのだろうか?
すると、多くの人は「周囲の環境」から大きな影響を受けていることが分かる。
自分の仲良い5人組グループの全員が結婚をすると、自分も結婚を焦り始めるように、私たちは常に周囲の環境に影響を受けている。
それが家族であったり、仲の良い友人であったり。
会社であったり国であったり。
同じ場所でも、時代や年齢なども大きな影響を与える。
そういった周囲の環境が私たちの価値観や固定概念を作っているのであれば、私たちがメタ認知を獲得するためにすべきことは自ずと見えてくる。
それは、自分の環境を変えることだ。
普段自分がいる環境を離れ、別の環境に身を置く「越境体験」を重ねていけば、自ずと新たな視点を獲得でき、メタ認知力の向上に繋がる。
引っ越しや留学、転職などが、簡単に挙げられる例である。
もちろん、別視点を得るためには「本を読む」ことも大きな意味をもつ。そこには、自分の考えでは到底及ばなかったたくさんの視点があるからだ。
社会起業家として活躍する株式会社Ridiloverの代表を務める安部 敏樹さんは、色の違うコミュニティに複数属している人ほど、社会問題に関心を持ちやすいというデータがあると話している。
社会問題に関心を持つということは、社会の違和感にアンテナが立っているということ。それは、自分という主観を離れ、社会という視点で物事を見れているからこそできる「メタ認知」の表れであると言えるだろう。
現代社会は、まだまだ数多くの社会課題が存在しており、そのほとんどを知りもしないまま私たちは死んでいく。
少しでも良い社会を次に世代に引き継ぐためには、様々なコミュニティに身を投じつつ、メタ認知力を向上させること。そして、様々な領域に興味関心を持つこと。
それが、社会をよくなるために重要な指標であると、私は感じている。
参考:https://co-hr-innovation.jp/wpcms/wp-content/uploads/2021/06/rubric_Introduction.pdf
参考:https://cococolor.jp/mashingup2021_220118