世の中には「選挙コンサルタント」という仕事があることをご存知だろうか。
選挙コンサルタントは、選挙で勝つためのさまざまなサポートを行う仕事である。
選挙コンサルティング会社は世界中にあり、日本にも例外なく存在する。その中でも「ケンブリッジ・アナリティカ」というアメリカの会社は、イギリスのEU離脱、トランプのアメリカ大統領当選を裏でサポートしていた、と言うのだから驚きだ。
この会社は2018年に倒産しているが、その理由が個人情報を不正に利用し、投票を誘導していたからだと言われている。
一体、どうやって?
その方法と人の心理から、情報との向き合い方について考えていきたい。
ケンブリッジ・アナリティカ
2014年、Facebook上でとある性格診断アプリが勧められた。
そこで聴取された性格診断のデータをケンブリッジ・アナリティカ社が入手。
どの政党支持者であるかや選挙への関心度など、診断結果で複数のグループに分け、自分たちが支持する政党に意見が傾くように、広告やフェイクグラフィックを使って行動誘発をしていたというのだ。
ただ、本当に恐ろしいのは”誘導されていた”という事実ではない。
誘導されていた本人が、”自分は誘導などされていない、自分の意志で選択している”と答えたことだ。
実際にこの話がどこまで真実で、選挙にどれだけの影響を与えていたのか、その真意は定かではない。それでも確かなのは、私たちが”自分の意志で選択している”と思っていることも、何かしらの影響を必ず受けているということだ。
マーケティングと自由意志
誇大広告やマスメディアの発信、ネットの書き込みや誰かの噂話まで。
私たちは日々あらゆる情報に触れながら、物事を判断している。そして、人の行動を誘発するコントロールレベルは、ITの発展に伴い年々進化していると言えよう。
個人情報の取り扱いについては、世界中で議論がなされている問題のひとつであるが、私たちがより便利な世の中を求めれば求めるほど、個人情報の提供は必須になってくる。その情報というのは、名前や住所のような情報だけではなく、個人の性格や考え、健康状態や人間関係まで、あらゆる意味での”情報”ある。
そんな世の中では、本当は望んでいなかったことでも、あたかも望んでいたかのように誘発され、購買や行動をするようになりかねない。
そんなとき、そのようなマーケティングから自分を客観視し、適切に判断をしていくためにはどうすれば良いのだろうか。
これは、何もSNSをやらなければ解決する、といったような簡単な問題ではないだろう。便利さはこの先もより追求され、私たちの行動データは蓄積されていく。
その中で、私たちは”自分にとってより良い選択”をしていく必要があるのだ。