暮らし いっぽんでもにんじん 2022年3月22日 有楽町で食事をした帰りの電車に、読書の手が止まるほど存在を無視できない女性が乗車した。黒革のジャケットと緑のニット。ウェーブのかかった前髪。左指の金の指輪と、長さが肩から膝まである巨大なふ菓子。黄色と茶色のパッケージには「小江戸」「川越」の文字があった。川越の菓子屋横丁から帰りである。 明治の初めに菓子職人である鈴木藤... SUZUME
脳科学 自分の感情をコントロールするには? 2022年3月22日 私たちは、さまざまな喜怒哀楽の感情をもっている。そしてその感情が生じた原因は「外的要因」であると感じることがほとんどだろう。 「試合に負けてイライラする」「悪口を言われて悲しい」「褒められて嬉しい」 しかしときには、明確な理由も分からず感情だけが沸々と湧き起こってくることもあるだろう。 「なんかイライラする」「なんかワ... SUZUME
小説 切手はどこへゆく【第三話】 2022年3月22日 https://suzume-newsletter.com/?p=129 もうすっかり暗くなったころに、部活は終わった。 頭の片隅に進路希望書のことはあったけど、体を動かしていると、もやもやがいなくなったような気もした。過去最高のスリーポイントを決めたあとに、どうにかなるっしょ、と思えたから、わたしって単純だ。ボールを... SUZUME
暮らし 疲れた犬はいい犬 2022年3月8日 移動の荷物が多く、ドライバーに力を借りて積荷しているときに、道が狭く散歩中の犬がタクシーが通り過ぎるのを待っていた。止まっているように見えたその犬は足を引きづりながら前進しており、数十秒の間、犬を待つ時間が生まれた。 論語の中に「孔子は喪服を着た人、礼服を着た人、盲人を見かけた時は、どんなに若い人であっても立ち上がって... SUZUME
脳科学 なぜ記憶は曖昧に保存されるのか? 2022年3月8日 https://suzume-newsletter.com/?p=76 前回、「人の記憶がどれだけ曖昧か」ということを、実験科学を使って説明した。そして、人の記憶が曖昧な理由を「その方が私たちにとって都合が良いから」という結論を伝えた。 ここでは、 「なぜ都合が良いのか?」 「具体的にどう都合が良いのか?」 ということ... SUZUME
小説 切手はどこへゆく 【第二話】 2022年3月8日 https://suzume-newsletter.com/?p=71 学生って面倒くさいなあって思うときは、だいたい怒られている時だ。 「稲村さん、提出期限過ぎてるんだけど。」「……すいませ~ん。持ってくるの忘れました。」 あはは、と笑って誤魔化そうとしたわたしを、担任は見逃してはくれなかった。 「そういうと思って、... SUZUME